金継に挑戦<実践編>

金継に挑戦<実践編>

実際に金継ぎをやってみよう「道具編」

今回は実際に金継ぎを一緒にやりながら、具体的な方法を紹介して行きたいと思います。
まず、金継ぎに必要な道具ですが、各メーカーから発売されている「金継初心者セット」をおすすめします。
初心者セットには金継ぎに必要な工具と材料がすべて揃っているため、作業以外の点で悩むことは無くなります。
また、本来の漆を使った「本来の金継ぎ」を体験出来るため、色々な意味で勉強になり有意義なものになると思います。

金継ぎを行う際の注意点

金継ぎでは、漆を使用するため、体質や体調によって皮膚がかぶれる可能性があります。
そのため、作業時は必ず手袋を使用して、万が一付着してしまった場合は油を使って迅速に落としましょう。
その他にも様々な道具を使うので、体調が万全の時に行って下さい。
扱いを間違えると、怪我や修理している器を破損させてしまうことにもなりかねません。

金継ぎ実践編 前編

それでは実際に金継ぎを行っていきましょう。
1「漆硬め」
まずは金継ぎを行うための下地作りを行いましょう。
器の破損部分に透漆を塗布し、一晩乾燥させます。
漆は乾燥させるために湿度が必要なので、必ず容器や箱に入れて湿気が逃げない状況を作って下さい。
2「刻苧漆(こくそうるし)で欠けを埋める」
初心者セットに含まれている補修用「刻苧漆(こくそうるし)」を使用して欠けている部分を埋めて下さい。
付属のヘラを使い、欠けている部分を埋めたら指で形を整えて下さい。
(この時点ではまだ形を整えないので、欠けが無くなりある程度綺麗になれば大丈夫です)
ここから一週間ほど乾燥させます。
乾燥後はカッターや砥石を使い、表面を平らにしていきます。
ここで力を入れすぎると刻苧漆が取れるので注意して下さい。
万が一取れてしまった場合でも、刻苧漆を付ける工程まで戻り、もう一度行えば問題ありません。

金継ぎ実践編 後編

ここからは仕上げの段階に入っていきます。
3「錆漆塗りと錆研ぎ」
刻苧漆(こくそうるし)を使って埋めた部分に錆漆を使って更に綺麗にしていきます。
この時、竹ヘラを使い細かい穴や傷、段差などをしっかり埋めて表面をなめらかにしましょう。
その後、4~5日ほど乾燥させます。
乾燥後、砥石を使って表面を丁寧に研いでいきます。
表面がなめらかになったら、更に一晩寝かせて下さい。
4「弁柄漆によるコーティング」
綺麗に研いだ欠け部分に弁柄漆を塗布し、防水性と耐久性を追加させていきます。
この時、一度に厚く塗るのではなく薄く均一になるように塗っていきましょう。
ここから3日ほど乾燥させます。
乾燥後は、砥石を使い表面をなめらかにしていきます。
この時も研ぎすぎによる破損や表面の劣化に気をつけて下さい。
研ぎ終わったら一晩乾燥させます。
5「金粉硬め、磨き」
最後の仕上げに入っていきます。
金粉を綿に付け、易しく欠け部分にまぶして行きます。
この時は薄くではなく、たっぷりと付けてき、終わったら3日ほど乾燥させます。
乾燥したら透漆を上から塗り、すぐにティッシュで押さえつけるように拭き取って行きます。
その後一晩寝かせれば完成です。
いかがだったでしょうか?実際の作業時間よりも乾燥する時間の方が圧倒的に長く、金継ぎは「待つこと」がとても重要になります。
ここで焦ってしまうと、どんなに丁寧に作っても台無しになってしまいます。
時間をかけて直した自分の器はとても愛着のあるものに変わりますよね。
今回は金継ぎ実践編をご紹介しました。