北欧食器や洋食器など、諸外国の器の魅力にとりつかれている私ですが、日本の焼きものも大好きです。陶器と磁器、素材や特徴、質感も違う器。陶磁器としてまとめて呼ばれているので、一緒だと思っている方も少なくありません。
陶器と磁器の魅力について紹介しましょう。
陶器(とうき)
見た目に温かみを感じる、陶器。土もの呼ばれる陶器の減量は、粘土です。ひび割れが起きやすい素材のため、強度をだすためにガラスの原料である珪石(けいせき)や長石(長石)を粘土に混ぜて使います。そのまま焼きあげると、吸水性のある素焼きの状態。吸水性を防ぐため、釉薬(ゆうやく)という薬を塗り、900~1200度の高温でさらに焼き上げます。釉薬が器にガラス層を作り、つややかに仕上がります。
日本で有名な陶器の中で最も私が紹介したいのは「益子焼(ましこやき)」。栃木県益子町の焼きものです。ぽってりと美しい器は、ツヤがあるのに砂気を感じる素朴の味わいがあります。料理の彩りを邪魔しない優しい色が、ふわりと料理を演出してくれます。
磁器(じき)
透明感のある美しさが印象的な、磁器。石ものと呼ばれています。主原料にガラスの原料となる長石を使用。陶器より高めの温度1300~1400度で焼き上げます。薄い仕上がりが繊細な美しさを演出。素地の色が白く、鮮やかな装飾「上絵」が施されます。素材そのものを活かす「青磁(せいじ)」や「白磁(はくじ)」の器も人気です。
日本を代表する磁器を1つ例にあげると、「有田焼(伊万里焼)」があります。約400年前に誕生したと言われる有田焼は日本における磁器の起源です。歴史のある有田焼は、昔“白い金”と呼ばれるほど人気を集めていたのだとか。今でも日本はもちろんヨーロッパでも人気が高く、世界最高峰の磁器と言っても過言ではありません。
陶器と磁器のあいだ「炻器(せっき)」
焼きものには炻器という、カテゴライズもあります。焼き締め陶芸とも呼ばれ、陶器と磁器の中間のような焼きものです。陶器のように釉薬をかけず、綿密に焼き上げた器の印象は素朴で自然を活かした仕上がり。
代表する炻器の1つ「備前焼(びぜんやき)」。岡山県備前市周辺を産地とする器です。ルーツは古墳時代のすえき製法から進化を遂げて、鎌倉時代から桃山時代にかけて今の備前焼になりました。堅くて割れにくい器は庶民の食卓に使われるようになり、1982年には国の伝統工芸品に指定されています。
日本は各地に焼きものの産地があり、どれも歴的背景や特徴、魅力をもっています。日本の陶磁器に興味をもった方は、器の美しさだけではなく歴史について理解を深めてみはいかがでしょうか。